2021年11月20日土曜日

『FACTFULLNESS』

言われているほど「意識高い系」ではなく、普通に面白かった。社会問題(貧困、人口など)を統計を通じて扱う。本書のメインの主張は、データを通して見ると昔(1980年とか)に比べて世界は良くなっている。我々オジサンが子供の時に学んだ知識は統計を通じてアップデートして、現在の世界を把握しないと判断を間違える、ということ。老人の意見は判断に影響を及ぼし、その知識は古くて間違っている。

本書では「誤解の原因は人間の10の本能のせい」だとしている。古来、人類が誕生したときに生存に必要だった行動規範が本能として現代にも引き継がれている。その本能によって間違った思い込みをしているので、典型的な3択クイズに対して33%(ランダム=チンパンジーレベルと呼称)よりも悪い正解率となる。





 

2021年11月1日月曜日

『和食はなぜ美味しい』

料理の本ではなく地学の本。著者は地質学者で、プレートテクトニクスや火山・大陸の生成を専門としている。和食の素材が日本の地形とどのように関係していて、その地形がどのように生成されているかを12のテーマに合わせて解説している。日本列島がなぜ今のような形に作られたのか、その成因がわかりやすく解説されている。

地質の話だけでなく、その日本の地形がどのような風土や食材を産み、どのような料理になるのかという話、食材の旨味が生成される生化学の話、それらを活かす料理人の技術の話も興味深い。そして、その料理の描写がとても美味しそう。

 

以前に読んだ『なぜ地球だけに陸と海があるのか』と同じ著者。こちらも面白かった。