2023年4月22日土曜日

『きみを死なせないための物語』

全8巻+補遺、完結済み。通常、漫画はこのブログには登場しないのだが、SF枠ということで。

少女漫画風の作画だが、中身は硬派SF。下にもあるように科学者が宇宙考証に参画し精密な設定のもとに書かれている。それだけではなく、その設定のもと、現代社会を生きる私たちの葛藤を浮き彫りにするような登場人物と物語の進行がすばらしい。

 


宇宙考証に本物の科学者が参画しているが、作品の根幹に関わるネタバレを含むので事前には見ないこと。そして、宇宙考証を読んだあとに、もういちど作品を読み直しましょう。

 https://www.comp.sd.tmu.ac.jp/ssl/kimi_storia/index.html



2023年4月16日日曜日

トマトとバジルの料理

暖かくなってスーパーに並ぶ野菜が春物になってきた。よく行くスーパーには、トマトの隣にバジルが置いてある。間違いない組み合わせ。以前、家で作ったら好評だったので、動画を撮影してみよう。 この週末は天気が悪く家に籠もっているのだ。

 

 

YouTubeのサイトに飛べば、4K高画質版が見れます。


2023年4月12日水曜日

金星とすばるの接近

2023-04-11 金星とすばるの接近があった。おうし座、すばるは黄道上にあり、金星に限らず惑星との接近はさほど珍しい現象ではない。すばると金星の接近も3年ぶり。一時的に冬も緩み、よく晴れていて、夕方の会議もなかったので、近くのインディアン・マウンヅまで観望に出かけてみた。インディアン・マウンヅは、ダウンタウン・セントポールの南西にある、ミシシッピ川沿いの丘(Bulff)で、STP地方空港を見下ろす位置にある。都市明かりの影響を受けるが、近くで西方の視界が良い観望地。


金星とすばる



2023年4月9日日曜日

『失敗の科学』

イギリス版『失敗学』。非常に読みやすく書かれている。導入として、失敗から学ぶ姿勢を第一にしている航空機業界と、10人に1人(アメリカの例)が医療ミスにあっている、権威主義的だとされている医療業界の比較。医療機器の開発において、患者に生じる危害の深刻さと、その発生確率から「リスク」を定義して、それを低減する仕組みが導入されている。しかし、えてして主観的で、忙しさやスケジュールから来る正当化(英語ではJustification)とのせめぎ合いになることもあるだろう。本書は、失敗に正しく向き合うことによって得られる成果について書かれている。そして粘り強くやり抜く力の重要性についても。

アメリカでは自己正当化はとても強い。「この問題について考えたいんだけど…」と言うと「いや私は悪くない」(なにも責任を問うているのでも非難しているのでもなく、問題を解決したいから相談にのってほしいだけなのに…)ということがよくある。物事を良くしたいという基本姿勢、結果として当人にも良いことがあること、をまず最初に理解してもらう必要がある。

じつは、以前に図書館で借りて読んでいたので、2周目。相変わらず、失敗にきちんと向き合えていないがために、失敗を繰り返している事例に遭遇し続けている。




2023年4月2日日曜日

『「集合と位相」をなぜ学ぶのか』

固くない数学書。タイトルのとおり集合論や位相論の解説書ではない。微積分の成立、フーリエ級数からはじまり、現代の数学が成立する歴史をたどり、その過程で、どのような必要性から集合・位相が生まれてきたのかを説明する。通常の教科書では、最初から抽象的な定義が降ってきて非常にとっつきにくい。しかし、それを歴史に沿って説明されると、成り立ち、必要性、使い方などの理解が深まる。解析学を厳密に定義するために集合論が作られた。しかし、そのカントール自身が実数直線Rと平面R^2の濃度が等しいことを証明してしまった。そこで、対応ではなく距離を定義し、その違いを写像の連続性に見出したのが位相論の成り立ち。その過程で抽象的かつ厳密に定められた集合と位相を用いて、数学が改めて記述・定義されるようになった。

 


数字であそぼ』に出てくる謎の用語がよくわかるようになるかも。