ミネソタでのアウトドア・アクティビティの一つの極である、バウンダリーウォーターズに行ってきた。情報収集、計画、装備、行動・生活・危機回避の技術習得など、集大成的な感じで達成感と満足度が高い。管理されたキャンプ場での不自由なキャンプも充実していて楽しいが、身ひとつでバックカントリーに踏み入って自活するという経験もとても楽しい。
非常に特徴的で、ミネソタのアウトドアを象徴するような地域・活動であるが、日本語の情報はほとんど無く、この記事がその一助となれば嬉しい。
(めちゃくちゃ)長いが、計画編、行動編、まとめ、とわかれている。さらに別記事で持ち物編。
計画編
地域
ミネソタ州北部、スペリオル湖のさらに北、カナダとの国境地帯に広がるエリア。たくさんの湖があり、一体は国立森林公園として管理されている。Boundary Waters Canoe Area WildernessということでBWCA, BWCAWなどとも言われるが、口語ではバウンダリーウォーターズが一般的。
名前にWildernessとあるように原野地域。当然、電気や水は通っておらず、携帯電話は圏外。 指定地のキャンプサイトでの野宿。各キャンプサイトはグリルとポットントイレがある。薪は倒木を使う。湖の水は濾過すれば飲むことができる。キャンプサイト以外の宿泊は禁止。禁止というが、湖岸は基本的に切り立っていて陸上部は樹林。キャンプサイト以外は上陸も宿泊も事実上、不可能。
湖の上はカヌーで移動。ほとんどのエリアは動力船が禁止。湖と湖の間はトレイルで繋がっているが、そこをカヌーを担いで移動する(Portage:ポーテジェという)。これがバウンダリーウォーターの象徴的な活動。魚は、スモールマウスバス、パイク、ウォールアイなどが釣れ、釣り目的の人も多い。
水上交通は、カヌーとカヤックの2つの形式がある。一般的にカヤックのほうが運動性能が高く、喫水が低かったりクローズドデッキであるため悪天候に強い。カヌーのほうが積載性に優れる、という理由もあるが、カヤックはアラスカ原住民の乗り物、カヌーはアメリカ原住民の乗り物をルーツとしていることもあり、バウンダリーウォーターではカヌーが用いられる。
この一体は古い地盤で鉄鉱石やその他の鉱石を産出し、一時期は汚染が広がった。そこを自然保護区域としたのが、現在のバウンダリーウォーター。
西海岸ではPCT(Pacific Crest Trail)のようなロングトレイルがアメリカ・アウトドアの一つの到達点となっているが、ミネソタではバウンダリーウォーターもその一つ。
ElyやMoose Lakeは玄関口のひとつ。アウトフィッターというアウトドア・サービスショップ(カヌーレンタルやツアーなどをやっている)も多数ある。
この地図はバウンダリーウォーター全体、エントリーポイントとアウトフィッターの場所を示している。
ミネソタ州とカナダ国境に接する地域に広がるバウンダリーウォーターズカヌーエリアウィルダネス、通称BWCAWは実に東京都あるいは大阪府のおよそ2倍の面積を持ち、その全域に大小およそ1,000以上の湖があり、カヌールートだけでも1,200マイル(1,920 km)に及びます。
上記の地図は、ほんの一部でBWCAWには、カヌートレイルのみならずハイキングトレイルも12あり、2,000以上のキャンプサイトが点在します。またこのウィルダネスに隣接するカナダ側に広がるクエティコパークも含めると、東京都あるいは大阪府の4倍の面積の中に1,600に及ぶ大小の湖と公式、非公式を含め4,000ものキャンプサイトが存在しています。
パーミッション
BWCAWは人数制限をしており、入るにはパーミッションが必要。recreation.govから申込み。1月の最終水曜日の朝0900(CT)から、その年度の申込みが可能。早いもの勝ちだが、瞬殺というわけではなく1週間後でも空きがあった。Instagramのアカウントをフォローしていたら「今日から申し込み!」という投稿があって、慌てて調べて、計画を具体化して、パーミッションを取得したのだ。
エリアに入るのに、エントリーポイントが決められており、エントリーポイントごとに人数が決まっている。一つの許可証で1グループ(4隻9人まで)。エントリーポイントはアウトフィッター(アウトドアサービス店)近接のものもあるが、駐車場だけのものもある。その場合、カヌーは自前のものか、レンタルしたものを屋根にくくりつけて(通常、車載器具も借りれる)エントリーポイントまで移動。エントリーポイントも、湖畔にあるものもあれば、駐車場からいきなりポーテジェ(担ぎ)が必要な場所もある。
パーミッションは予約はオンラインだがパーミッションのフィジカルな受け取りが必要。オフィスに行ってもよいが、アウトフィッターでも受け取れる。申込時に受け取るアウトフィッターを指定する。自然保護だけでなくカナダ国境でもあり、けっこう、パトロールにパーミッションをチェックされたという話を聞く。釣りのライセンスとともに、忘れずに携行しよう。
大人一人あたり$16.00。人数が少なくても最低$32.00のデポジットを支払う。
一人の場合、あとで$16返金される。それ以外にReservation Fee $6.00がかかる。
全体のマップ、エントリーポイント、アウトフィッター、キャンプサイトなどの情報はbwca.comが詳しい。
時期としては8月中旬の新月期をターゲットとした。6、7月は虫が多く、9月に入ると冷え込む。週末を挟んで2泊3日。それ以上の長期は今後の課題とする。実際、夏休みなのでファミリーグループだったり、中学生グループ+大人の引率のようなグループも多かった。
2023/2/4時点でのKawishiwi Districtの開き状況/キャパシティ
- Angleworm Lake 2/2
- Crab Lake & Cummings Lake 3/3
- From Big Lake 2/2
- Moose Lake 15/27
- Snowbank Lake Restricted 1/1
今回は、Moose Lakeから入ることした。Moose Lakeにはアウトフィッターが数件あり、その場でカヌーをレンタルすることができる。今回は、Williams and Hall Wilderness Guides and Outfittersを利用。カヌーもレンタルする。
キャパシティも多く、キャンプサイトも多い。初心者に人気のエリアといえるだろう。懸念点としては、時期も遅いので薪が拾えるかどうか。
レンタル(アウトフィッター)
アウトフィッターで借りたものは次。
- 1P ケブラーカヌー。上陸したり、持ち上げたりするのでケブラーが良い。1Pが選べるなら小さくてよい。$52 × 3day = $156 + Tax。ヨーク、パドルとPFD(Personal Floating Device:ライフジャケット)も料金に含まれている。
- タープ。持ってないので。雨対策。ブルーシートは持っていく。
- のこぎり。薪は売っておらず、倒木を切り出して焚火をすることになる。
カヌーはケブラーに限る。近くの川で借りたカヌーはアルミで座面が硬かったが、今回借りたカヌーはケブラーなので丈夫で軽量。座面も座りやすかった。
カヌーを担いでポーテジェするためにヨーク(肩パッド)が必要。単座の場合、シートと干渉するので取り外し式のヨーク。普段は外して置き、担ぐときはクイックリリースみたいな金具で中央部に固定する。
付けていない人も多かったがライフジャケットは必ず着用しよう。
今回は一人乗りなので、片側にオールが付いているカヌー・パドルではなく、両側にオールが付いているカヤック・パドルを借りた。持ち替えなくても左右交互に漕ぐことができ、非常に効率がよい。
雨の時のために大きめのタープをレンタルしたが、実際には使わなかった。軽量タープを期待したが、4x4mぐらいののブルーシートだった。運用してみたところ、100円の180x180cmのブルーシート2枚(床、屋根)とテントで雨でも大丈夫そうな感じだった。
ノコギリは、薪を切るため。これも軽量タイプを期待したが普通のタイプだった。初日は前の人が残した薪があったが、二日目はなかったのでノコギリが多少活躍した。しかし、実際には、立木を切っても生木は燃えない。手でパキッと折れるぐらいがちょうどよく、実質ノコギリの出番は少ない。
レンタル(Garmin InReach Mini2)
GPSで位置を特定しイリジウム衛星で救助を呼べるデバイス。SPOTというデバイスもあるが、Garmin のInReachシリーズも同様のもの。SOSスイッチを押す⇒イリジウム衛星でガーミンのサポートセンター⇒地域の救助隊。ロケーション情報なども定期送信してくれるみたい。購入の場合は回線使用料のサブスクが必要。レンタルの場合は代金に、回線使用料も含まれている。
ミネアポリスの Rock & Ice というガイドショップでレンタルしていた。5dayで$37。契約しているプランでは、SOS無制限。チェックインメッセージ(位置情報つきの定型文を登録した宛先に一斉送信)無制限。実際にはメッセージを送信しても衛星が頭上を通過するまで10分ぐらいはデバイス内で送信待ちとなっているので注意が必要。
持ち物編
あまりにも長くなりすぎたので別記事に移動。
行動編
今回はこの地図のエントリーポイント25からスタート。Moose Lakeを北東に進んでいく。Moose Lake は25HPまでの動力船が許可されている。航跡波に注意。赤い点がキャンプ場で黄色い線がポーテジェ(陸路)。練習の川下りだと3時間で10km(6マイル)ぐらいだった。トラブルがあっても自力で帰ってこなくてはならないので10マイルぐらいを想定距離とする。ポーテジェの距離はRodという単位で表される。1rod=16.5ft=5m。その名の通り竿一本。320rod=1mile。湖が繋がっているようなところも瀬になっていて浅かったり流れているところはポーテジェのルートがある。注意して地図を読む。
紙の地図、バンダナ地図、コンパス、Garmin(Edge530)、スマホのGeographicaで地図をキャッシュしておく。
一日目
セントポールからムースレイクまで車で4時間。前日は早く寝て、9時の開店に到着するように自宅を出発。パーミッションの受け取り、レンタル品の受け取りをして漕ぎ出し。
この日は森林火災の影響で日光が遮られ、朝が寒い。AQA:Air Quality Alartも出ていた。明け方の最低気温が9℃。フリースを持ってこないという、ヤラカシたかと思ったが、一日目の昼以降は温かくてよかった。
ウエアは、長袖アンダー、モンベルの長ズボン、Keenのサンダル、靴下、夏用フーディ。二日目は暑かったが一日目、三日目はこれでちょうどよい感じ。
9時にアウトフィッター(アウトドア・サービス会社)にチェックイン。レンタル品の受け取り、パーミッションの入手。車は移動させるかもしれないので鍵を預けておく。
0930ごろスタート。Moose Lake⇒Newfound Lake⇒Sucker Lakeと進み、カナダとの国境地帯を目指す。まさにバウンダリー。道中長く、釣り船が通行して曳き波もあるので緊張する。
道中、日暈がきれいに見えた。よく見てみると、幻日輪や外暈も見える。日暈(内暈)は大気高層の氷晶による屈折によって生じる現象。太陽を中心に22度で広がる。外暈も同様に氷晶による屈折によって生じ、46度離れる。これらは屈折による現象なので虹色に分光する。幻日輪は氷晶の反射によって生じ、白色で分光せず、太陽から天球上を水平に一周する。昼頃の時刻で太陽高度が高く、見上げるとこちらもリング状に見える。
これらは高層に湿った空気が流入していることを示し温暖前線の接近であることが多い。2~3日後に天気が悪化するサインである。今回はどうか?
内暈と幻日輪(うっすら) |
中央部の円形は幻日輪。写真では輪に見えるが、天球上では水平に通っている。 |
左下に外暈 |
がんばって漕いで、昼過ぎにはカナダ国境地帯に到着。だいたい、平均速度として4km/hを期待しておいて良さそう。
カナダに到着 |
左岸がカナダ、右岸がUSA |
時間と体力に余裕があるので、もうすこし船を進めて、キャンプサイトを物色する。金曜日で人口過疎地帯なので、わりとキャンプ場を選べた。
カナダに面していて、芝生が生えていて上陸しやすそうなキャンプサイトを発見したので、そこをキャンプ地とした。
まずは昼食。袋ラーメン。
サイトを設営したり、周囲を散策したり。
すこし離れたところにトイレが設置されている |
釣りもチャレンジしてみたが、全く釣れる気がしない。水の透明度が高く、光が明るい。水温は高く魚は底に潜っていそう。ウォールアイがどのような場所、時間、餌を好むのか、チンプンカンプン。何度かルアーを投げてみたが、無理だと悟った。知っている人に教えてもらわないと難しいね。
一方、鳥はたくさん。カモ類が近くでにぎやかに鳴いている。荷物は吊るさなかったが、クマの恐れもあるので、念のため食料はテントに入れずに離れたところに置いておく。
前の人が薪をたくさん残してくれていたので(しかし、生木をのこぎりでカットしたものなので火が付きにくい)とりあえず焚火。靴下を乾かす。
18時ぐらい、まだ明るいが夕食。ビールとフリーズドライ。
20時前ぐらいに日没。よく晴れていて夕日がきれい。
その後、すこし晩酌。カメラも持ってきていないので、星が出る前に就寝。
プラのミニボトルにウィスキーを詰めて、レモン汁もタレボトルに |
夜中に起きてみた。よく晴れていて星もきれいなのだが、思ったほどの感動がなかった。緯度が高いのと視界が北空にむいていて、カシオペアと北極星のあたり。夏のド派手な天の川という感じではない。オーロラを見に来ていたり、写真での強調された空に慣れてしまっているからだろうか。
夜は冷え込んだが、夏装備でも寝られる感じ。
二日目
ミネソタの夏の朝は早い。6時にはすっかり明るくなっているので自然に起きる。
焚火を起こして温まり、ごはんを浸水させて朝食の準備。地面からの湿気があるのでテントなどを乾かして朝食。白米0.75号をメスティンと固形燃料で。一日中漕ぐのでエネルギー補給。クッカーのフタでスパム(ラミネートされた一口サイズ)を焼いて目玉焼き。インスタント味噌汁、コーヒー。コーヒーは保温カップなので冷めない。キャンプで火口が限られている時に保温容器は時差調理に有効だ。
炊飯は固形燃料で。風防があれば十分炊飯可能。 |
カナダを見ながら朝食 |
テントを乾かして、撤収して8時すぎに出発。さわやかな朝、という感じ。風もなく非常に漕ぎやすい。今日は光輪が見えた。これは氷晶ではなく水滴による回折現象。前日よりも水分の高度が下がってきていることを示唆している。
この日のメインイベントは「ポーテジェ」。湖と湖の間をカヌーを担いで歩く。まずは地図を使ってルートを探す。入口に上陸したら、荷物を降ろしてヨーク(カヌーを担ぐための肩当て)を取り付け。荷物が多くて一回ですべて運ぶのは無理なので、艇と荷物で2往復。100rod(=500m)ぐらい。距離でいうとたいしたことないが、けっこうアップダウンがある(もっと平坦かと思っていた)。しかも蚊がたくさん。ダメ元で直前に追加の虫よけを塗布。
ポーテジェのトレイルはよく整備されている |
ヨークという肩当てをセットする |
せっかくなので、置きカメでセルフ動画。
2つ目のポーテジェを終えてTrident Lakeは一部が湿地状で蓮の花がきれい。
3つ目のポーテジェをこなすとEnsign Lakeに出る。比較的大きな湖でキャンプ場もたくさんある。初日のバーチレイクとは異なり、地質の影響なのだろうか、水がやや赤っぽい。
この日は最高気温が30℃ぐらいにあがる。しかし、ナビも漕ぎも上達してきて、速度が出るようになってきたので、快調に漕いでいく。この日は土曜日で、Ensign Lakeは人通りが多い。岸をみてみても、キャンプ場が使われていることがおおい。周囲の景観を楽しみながら予定していたEnsign Lakeの西の方まで進む。
単なる流木かビーバーの巣か? |
この日のキャンプ場は湖の中にある小島の高台の見晴らしがよいところ。クマの心配がないのは良いが、虫が多い。長袖、長ズボンで防御してはいるが、布の上からでも平気で刺してくる。キャンプ場は先着順なのだが、先客が居た。野生のニワトリ?
まずは昼食。そうめん。
時間もあるし、天気も良いので寝袋などを干す。人間は風通しのよい木陰で椅子に座ってビール。水浴びとはいかなかったが髪や顔を洗って、手ぬぐいで体を拭く。非常にさっぱり。手ぬぐいもすぐに乾く。
このキャンプサイト、焚き火台の下が筋が入った岩盤となっている。これは先カンブリア期に噴出した溶岩地盤を最終氷河期の氷河が削り取った跡。氷河が流れた方向に筋が入っているし、湖も氷河が削り取った凹みなので、同じ向きに方向性がある。
天気がよいのでシュラフを干す |
焚き火台の下の岩に注目 |
先客。野生のニワトリ? |
昼食はそうめん。2束 |
土曜日でもあり、キャンプサイト付近の密度も人口密度も高く、人の声がよく聞こえてくる。原野感はあまりしない。本を読む気分でもなく、音楽を聞く気分でもない。ただ雰囲気を受け入れてダラっとする。夕方、涼しくなってきたら夕食。またドライフード。
一日目とはまた違った夕日の表情が美しい。
この日は暑かったので、寝袋は展開して掛け布団として使用。朝方涼しくなったが、それでちょうどよい感じ。
なんとも言えないグラデーション |
左の方に細い三日月 |
三日目
6時ぐらいに自然起床。青空も見えるが雲が低い。道具を乾かして、ゆっくりと出発しようと思っていたが、雨のリスクを考慮して早めに出発。帰路につくのでウエアは着替える。朝食は二日目と同じメニュー。
Splash Lakeの前後に急流があるので、その部分は短いポーテジェが2回。それが終われば、あとはアウトフィッターまで頑張って漕いでいくだけ。日曜日、他にも多くの人が帰路についていた。太陽が高くなると雲も晴れ、結局、三日とも雨に降られず、風もない、最高のコンディションで旅を終えることができた。
アウトフィッターではシャワーを借りることもできる。ビールを我慢して4時間のドライブで帰宅。
まとめ
時期
夏休み期間の週末ということもあり、ファミリーや子供グループも多かった。とくに土曜日はキャンプサイトは混み合うので早めの確保が必要。6,7月よりも水温も高く虫も少なく、非常によいコンディションである。 新月期にしたのも星景観望をたのしめて良い会った。
地域的なところもあるが土日は人口密度が高い。せっかく僻地にきたのだったら、平日の日程でボッチ感を味わうのが、より「らしい」と思う。
日数
2泊3日というプランは、マルチデイのチャレンジとしても、Moose Lake発着プランとしても、初回としてはちょうどよい長さだと思う。釣りに集中する、とか最深部まで1週間、とかがなければ、飽きもせず、披露・持ち物・健康維持・挑戦性などのバランスがとれていると思った。1泊2日では普通のキャンプになってしまうし、3泊以上だと食事・着替え・入浴などにしわ寄せがくるし(釣りをしないのであれば)景色にも飽きる感じ。
生物
ムース、ビーバーなどの生物との遭遇を期待したのだが、今回はバウンダリーウォーターの入口であって最深部ではないので、遭遇はできなかった。クマと遭遇しなかったのはむしろ良かったが。
一方、鳥はたくさん。とくにカモ類。陸地には野生化したニワトリもいた。
困るのが虫。6~7月よりは少ないとはいえ、虫が多かった。とくに二日目のキャンプ場は虫が多い。長袖、長ズボン+虫よけで防御に努めたが、それでも服の上からも、何か所も刺される。しょうがないね。バグネットも持って行ったがそれを使うまではなかった。
ルート
今回、Moose Lakeを発着点に選んだのは、そこでカヌーを借りてすぐに漕ぎ出せること。それ以外のところだと町でカヌーを借りて、車載してエントリーポイントに移動する感じになる。その点は良かった。しかしMoose Lakeの移動が長い(しかも動力船の航跡もある)のはちょっとしんどい。
私は時計まわりで行ったが、反時計回りで行く人も多そうだ。ポーテジェの距離や難度も適切で良いルート選定だったと思う。
カナダ国境地帯のバーチレイクは人気がなくて秘境的な雰囲気を味わえた。
一方、土曜だったからかもしれないがエンサインレイクは人通りが多く、隣や対岸のキャンプ場からの人の声が聞こえたり、離島感が興ざめである。
カヌー
最初は転倒も怖かったし、地図と山立ての感覚が異なったので戸惑った。2日目にもなれば、ナビも慣れて直線的に移動できるようになったし、漕ぎもうまくなった。なるべく後ろの方までストロークをしっかり残すのがポイント。船上での動作もゆとりが出た。
ポーテジェ
とくに2日目のポーテジェは思っていたよりもハードだった。カヌーや荷物をかついだしっかりとした登りがある。しかし、ポーテジェをやらずしてバウンダリーウォーターではない。それも含めて楽しめた。
キャンプ
とくに一日目のキャンプが、人里離れた感があってとても良かった。眼の前のカナダを眺めてリラックスできる。二日目は島なので熊の気配はなかったが、週末だったせいもあり人の気配が多かった。
食事
とくに、魚が釣れなかったこともあり、夕食はドライフードで簡単に済ませてしまった。朝食もガス調理。結局、片付けが面倒なこともあり焚き火調理はしなかった。グルメキャンプって、日程と資材に余裕がなければモチベーションが沸かないものかもしれない。
アクティビティ
ウォールアイが釣れるかと思って楽しみにしていたのだが、実際は全くだった。普段からウォールアイを狙っていればかっても違うと思うが、ぶっつけ本番で技術がなく、道具も素人、ソナーも無し、では厳しかった。ウォールアイの釣りの練習をしてから行くべきだろう。
一日中漕ぎ続けるか、釣りをするか、のんびりするか。今回はカメラも持っていかなかったし、半日移動して、早めにテントサイトを確保し、残りはのんびりすることに注力した。
良かったもの
地図として、紙(耐水紙の地図)、バンダナ地図、Garmin Edge530、スマホ(Geographica)、物理のコンパスを持っていった。主に使ったのがバンダナ地図とスマホのGeographica。紙の地図は正確なのは良いが挺上で広げにくい。バンダナ地図は丸めてポケットに入れてOK。Edge530はログ取りには便利だが地図のデータが荒い。Geographicaは詳細地図がスマホで見れてGPSで現在地もわかる。もとは日本の登山用だがアメリカの地図もダウンロード可能。詳細さは十分。登山用のアプリなので事前に地図をダウンロード(キャッシュ)しておくとオフラインでも使える。もしかしてStravaの有料プランだと事前ダウンロード地図が使えるかもしれない。
重要: スマホは湖に落とすリスクがあるので、紐で首から下げておくようにすること。当初、指ストラップしかついていなかったので、現地でロープをカットして首さげにした。
Garmin InReach Mini2。実際はSOSボタンを押すことはなかったが、安心ギアとして、非常に良いものだと思う。レンタルだと費用もリーズナブルだし、おすすめできる機材だ。
椅子とローテーブル。とてもよかった。半日漕いで、とくに肩と背中が疲れる。背もたれがある椅子に座ってリラックスし景色を眺めながらビールなどを飲むのは、非常によい感じ。
不要なもの
道具の方にも書いたが、MPOWERDのソーラーランタンの動作がイマイチだった。モバイルバッテリーのバックアップという位置づけだったが、バッテリーとして使うためにはランタンとしての使用を控えなければならないというジレンマ。ソーラーパネルはランタン用の発電はできるがスマホに充電できるぐらいは発電できないという制約。ランタン自体の明るさとしては満足しているが、その2点がわりと根本的な欠陥なのではないかと。技術的に残量ゲージが不正確で期待した充電量や動作時間が得られないのは改善が必要。
結果的に魚が釣れず、焚き火調理関連の器具は不要だった。釣れたら使ったのだろうが。
荷物編の振り返りも参考になると思う。
携帯の位置情報が繋がらなかったので、Garmin InReach Mini2から送られてくるMAPは安心材料でした。
返信削除Garmin InReach シリーズ。僻地での安心料としては、価値に見合った価格だと思います。
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