2025年3月30日日曜日

FIRST ROBOTIC COMPETITION

高校生のためのロボコン。ミネソタの大会だが日本から参戦しているチームもある。大会の存在を教えていただいて、見に行ってきた。

 


 

大会について

  • FIRSTというSTEMを目的としたアメリカのNPO法人がある。
  • FIRSTが開催している高校生対象のロボコンの一つがFRC(First Robotic Competition)
  • 地区大会とチャンピオンシップ大会がある。チャンピョンシップ大会はテキサス、ヒューストンで開催。今回の大会はミネソタ近隣州の地区大会の中のステートフェアパークで開催されるセントポール予選。
  • 競技のルールは毎年変更される。

STEMとはScience, Technology, Engineering, Mathのことで科学技術教育のこと。Artが入ってSTEAMとなることもある、Artは芸術を意味することもリベラルアーツ(教養)を意味することもある。

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日本からの参加チーム

日本からはSAKURA Tempestaというチームが継続的に参加している。STEMを目的としたNPOでロボコンチームは千葉工業大学を拠点に活動している中高生たち。

アウトリーチ活動も重視していて、ウェブサイトや各種SNSでの情報発信、ロボコン以外のワークショップ活動、スポンサーやクラウドファンディングでの資金集めなど、非常に総合的にしっかりとしている。

FRCでは参加チームに4桁の登録番号が与えられ、SAKURA Tempestaの場合は6909。

日本以外にも、インド、中国、チェコなどから参加しているチームもあり、とくにインドチームは予選2位と非常に優秀。

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今年のルール

  • 3チームが同盟(アライアンス)を組み、Red vs. Blueで競われる。
  • まず予選リーグが開催。その後、敗者復活を含む決勝トーナメント。決勝トーナメントのアライアンスに入るためには予選上位チームから指名されなければならない。
  • 競技開始から15秒は自律運転のみ。事前のプログラムや2Dバーコードの認識によって自律的に動作する。
  • その後の2分15秒は人力運転。パソコンにつながったコントローラから無線制御でロボットを動かす。



スクリーンに全体図が映されている。

自陣の中央に枝のような器具(サンゴを模している?)がありボールが挟まっている。大雑把にいうと、次のことをすると得点が入る。

  • ボールを写真左側のタナ(船を模している?)に置く。
  • 枝に白い筒を刺す。筒は人力で写真右側の人から供給される。
    • 上の枝のほうが得点が高い。
    • 筒を刺すにはボールをどけなければならない。
  • 競技終了時に左側にぶら下がっている四角いケージにロボットがぶら下がる。
    • ケージは高いものと低いものがある。低いものほうほうが得点が高い。
    • 競技終了時にはロボットの電源が切れるが、その状態でもぶら下がりを保持しなければならない。

相手チームの妨害はOK。また上記すべての機能をロボットが備えている必要は無く、取捨選択してもOK。

 

 

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ロボットの設計

毎年1月に競技仕様が公表され、予選大会は3月なので、その短期間でロボットを設計・組み立てる必要がある。

周囲にバンパーがあるフレームの中にロボットが組み立てられる。バンパーは赤・青があり試合によって変更する。

移動のための車輪類(サーボモータ)、無線含めた制御部(PLCなど)、ローラーなどの主要な部品は主催者側から販売されている。おそらく制御ライブラリの一部も。競技としての均質性を確保するとともに、低レイヤー部分をパッケージ化することで、参加チームは上位レイヤーの戦略・戦術、機構、制御アルゴリズム、などに集中することができる。

しかし、これらの標準品はアメリカ製でインチ規格なので、日本で標準的に手に入るミリ規格との混在設計はめんどくさそう。

日本チームはスポンサードされているミスミのアルミフレームをベースに電飾やスポンサーボードを組み合わせた設計。機能的にはボールを乗せる機能を省き、筒を刺すことと、低いケージにぶら下がることに集中していた。他チームと比べてもシンプルでカッチリした印象を受ける。配線がブラブラしていなかったり、持ち運びについて考慮されているところも良い。電装品の収まりも設計初期から考慮されているところも経験を感じる。

アルミフレームは設計も分解も楽。ただし、ロボコンという競技の特性上、衝突などによってネジによる組み立てが緩みやすいことが欠点。とくに片持ちになる箇所などは三角補強板などを適切に加えたら良いと思う。ホゾ、ピンジョイントなどのネジによらない位置決め・固定も有効だ。アルミをねじ止めすると面圧が出なくて緩むのだ。チーム員の方は溶接もしてみたいと言っていたが、良い挑戦だと思う。

 


筒を刺す動作は繰り返し行われるので確実さとスピードが要求される。とくに高いところに刺す場合はリフト機構が不安定にならないようにしなければならない。

 


 

低いケージにぶら下がる機構は各チームの工夫のしどころ。ケージを抱え込んでリンクで畳み込むのような感じの収斂進化が見られた。

 



機能を実現するためにアイデアを出し、それがうまく動くことは非常に楽しい。しかし、動作の信頼性、メンテナンス性、強度、加工技術など、それらを支える設計も必要になる。それらはアイデア勝負ではなく失敗と修正の繰り返しが必要だ。先輩からの引き継ぎや現実世界の製品を観察することからの気づきなどを大切にしてほしい。

結果

土曜日の午前に予選を見に行った。

会場はステートフェアパークの中。アリーナには競技場とチームピット、練習場などがある。見学も可能だがセーフティグラスが必要(会場での貸出もある)。日本ではセーフティグラスはあまり普及はしていないが、アメリカでは着用率が高い。自転車でのヘルメットのようなSTEMの象徴的なアイテムとして捉えられているのだろうか。 

みなさん、揃いのTシャツを着ていたり、毎年のバッジを付けていたり、ボーイスカウト的な雰囲気もある。

地元チームは本格的なツールキャビネットやボール盤などの工作機械を持ち込んでいるチームもあった。


私が観戦した日本チームの出場試合は2試合。

最初の試合は非常にスムーズかつ確実に得点しているような感じだった(私がまだルールをよく理解していないので感覚的な感想)。

次の試合が予選最後、連合内での打ち合わせがあったのかは不明だが、日本チームは相手の妨害がミッション。しかし途中でボールに乗り上げてしまって行動不能になってしまい座年だ。

予選が終了した時点でランクは13位。決勝進出は3×8=24チームなので順当にいけば上位チームから指名されて決勝進出の可能性が高い。しかし、残念ながら指名が得られずに決勝進出とはならなかった。チーム戦略と提供可能な機能が噛み合わなかったのだろうか。この辺は上司の権限とコミュニケーション・コネクションを重視するアメリカっぽい感じ。 

日本チームの皆さん、がっくりとしていた。

私はそこで帰宅したが、決勝でも1試合に参加できたようだ(バックアップ枠?)。

最終的には日頃の活動も含めての評価で、Regional Engineering Inspiration Awardを受賞してチャンピョンシップ出場権を獲得した。おめでとうございます!

ものづくりに夢中で取り組んでいる人はとても楽しそう。チーム員の方ともすこし話をさせていただいたが、やりたいことが溢れてくる感じ。さらに、このような試合形式でのイベントがあるとコンクールのような「文化系スポ根」的な盛り上がりもあって良いね。 

チームではヒューストン遠征のための費用をクラウドファンディングで募集している。

https://gofund.me/3d3953ff

 


 

 

 

 

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