14,000feet(4267m)より高い山をアメリカでは14ersという。全米に89座あり半数以上の53座がコロラドにある。今まで登った一番高いところは富士山なので、それより高いということは、登ってみたくなる。
Torreys Peak(4351m) |
写真はクリックすると拡大される。
長いです。
計画編
14ersに関する日本語の情報源は非常に少ない。
- 私が、初めてその存在を認識したのがSiete Vidasというブログ。実際に登った記録と感想が詳細に書かれていて非常に参考になる。
- 概要を一覧するのにHunterschoolの自動翻訳記事。
- 一番詳しいのが14ers.comというサイト。計画は、ほとんど14ers.comの情報を元にした。
- 名前が似ているが、14ers.orgというNPOもある。
時期としては、7月上旬は雪が残っている可能性が高く、8月になれば午後の雷雨が心配だ。7月下旬の週末を含めた4日、2022-07-14(木)〜17(日)で計画した。今回は単独行動ではなく、自転車仲間のI氏とのパーティ。
初日:MSP→DEN。高度順応のために車で頂上まで行けるMt.Evansに行く。
二日目:最低限クリアスべき目標として最も簡単そうなMt.Democratに。拡張目標として周辺の山を縦走。
三日目:もうすこし欲張って他の山に。当初計画ではSawatch RangeのMt.Belfordを考えていた。しかし、二日目の様子を見てGrays Peak(+縦走でTorreys Peak)に変更。
四日目:観光。DEN→MSP。
二日目と三日目の行動日は、日の出までにトレイルヘッド着。そこから行動開始して、雷雨を避けるために昼過ぎには下山の予定。また、高山病のリスク要因として、睡眠不足、飲酒、水分不足がある。そのため、前日は基本的には飲酒せずに早々に寝る。DEN→MSPのフライトを夕方にすれば、三日目の行動を終えたあとに帰宅することも、四日目に、もう一山、行くことも可能だが、今回はゆったりスケジュール。
14ers.orgの予想によれば、次のように、最も人気が高い山域でもある。
トレーニングハイク
本格的なハイキングになるので、練習のためにSHTに事前トレーニングハイク。いつものBean&Bare Lakeのその先のRound Mt.まで往復。
初日
MSP→DEN。空港からシャトルバスでレンタカーを受け取る。今回はHertz。Hertsはゴールドメンバーなどの会員で無い限り、非常に並ばされる印象がある。空港カウンターでも、いつもHertsとAlamoは並んでいる。今回も非常に待たされた後に車をピックアップ。FordのEcoSportというコンパクトSUV。トレイルヘッドへのアクセスは非舗装で路面状況が悪く、最低でもAWDのSUVが必要。できればピックアップ・トラックとかJeepが安心。
最初の目的地であるMt.Evansに向かう。
Mt. Evans
14ers.comより |
(ほとんど)頂上まで車で行ける。アクセスルートは、全米で最も標高が高い自動車道。ただし、時間指定の予約制(https://www.recreation.gov/timed-entry/10087438/ticket/10087439)。$15.00+システム利用料$2.00。知らずに空港からレンタカーで向かった途中の標識で予約が必要なことを知り、すぐさま予約したら4leftで12時からのスポットをその場でネット予約できた。高山でもある山岳への上りはガソリンを消費する。登坂前に満タンにしておくことを推奨。12時までは麓のEcho Lakeで時間を潰す。
登っている時点ではよく晴れていて、森林限界を越えて視界が晴れると、高山風景を堪能できる。自転車で登ってきている人もいて驚きだ。
頂上直下のSummit Lakeで休憩(12,830ft=3910m)。この時点で富士山より高い。空気が薄く、少し歩くだけでクラクラするのを感じる。高山植物、高山湖、氷河、岩壁、濃い青空が美しい。
Summit LakeからMt.Evansに登るトレイルもあるが、今回は高所順応が目的なので車で頂上駐車場まで。駐車場からすこし歩くと、本当の頂上にたどり着くことができる。
Summit Lakeを見下ろす |
脚ならしのために、稜線をMt.Spaldingsの方に歩いてみる。次第に足場が悪くなってきたので撤退。ほとんど登っておらず心肺にも負荷がかかっていないはずなのに、SpOが68%。
駐車場を去るころ(1400)には雹が降ってきた。ガードレールが無い道を慎重に下る。酸欠から眠気を引き起こしがちな点にも注意が必要。
下って、宿泊地であるSilverthoneのSuper8に。
Silverthoneは小さな街だが、ガソリンスタンド、スーパー、レストラン、ブリュワリー、アウトドアショップが小さい範囲に集まっており、とても快適に過ごせる。スーパーよりもアウトドアショップの方が多い。周囲の山々にはスキー場があり、冬は賑わうであろうことが推測できる。標高2700mであり、ここにいるだけで高地順応になる。
初日、二日目、三日目ともに午後から雷雨。Silverthoneの街なかでも雨と雷だった。
二日目
Mt. Democrat
14ers.comより |
ゴロゴロ。これよりヒドい地帯もある |
午後から雷雨の予報であること、高度順応が不十分で高度障害の兆候が出ていること、などから、周辺ピークへの縦走は向かわずに、そのまま下山することにした。
前日に、スポーツ用品店で買っておいた酸素ボンベ(200秒噴射できて$15ぐらい)が役に立ったらしい。しっかりと息を吐いてから吸い込むと、目の前のクラクラした感じが一時的に回復するとのこと。
トレイル補修のボランティアたち |
Silverthoneに帰って、ホテルで休憩。周辺のショップ巡り。夕食。翌日の朝食と補給の購入。就寝。
三日目
Grays Peak & Torreys Peak
14ers.comより |
当初、Sawatch RangeのMt.Belfordを考えていた。獲得4500ft、往復距離8mileと、Mt.Democratのほぼ倍。登ってみた様子からは、それは大変ということで、もうすこし簡単そうなところに目標変更。Grays Peak。拡張目標としてTorreys Peakまでの縦走。
Grays Peakは丸くてなだらかな女性的な山。Torreys Peakは、三角形でゴツゴツした男性的な山。その2つを釣り尾根がつながっていて縦走できる。この2つのピークと尾根は、大陸分水嶺となっており、尾根の東側に落ちた雨粒はデンバーから最終的にはミシシッピ川を通りメキシコ湾に行く。左側に落ちた雨粒はコロラド川〜グランドキャニオンを通ってカリフォルニア湾に行く。その境界の稜線を歩くことになる。稜線部と東側斜面には雪渓が多く残っており、若干だが雪渓のトラバースが必要。
14ers.comのトレイルヘッド情報にも書かれているが、トレイルヘッドの駐車場が狭い。我々は0420発0500着で行動したが駐車場はすでに満杯。すこし戻った路肩に停めた。周辺は私有地で緊急車両の通行を妨げたりすると取り締まりの対象となる。14ers.comのログによれば、その日(土曜日)は0400でほぼ駐車場が満車、とのこと。早目の行動が必要となる。トレイルのアプローチも、Kite Lakeよりもさらに悪い感じ。それを夜中に上らなければならないので、車高は余裕があったほうがよい。
復路に撮影 |
0530行動開始。Kate Lakeよりも200mほど標高が低く、トレイルヘッドは森林限界〜灌木帯。ほぼ満月でヘッドライトも不要な感じの明るさ。序盤はトレイルも良く、灌木〜高山植物地帯をなだらかに登る。U字谷の谷底で、隣には川も流れている。0630ごろ、稜線から日の出。ウィンドブレーカーを脱いで、日焼け止め、サングラス、帽子の昼装備に交換。
スタート時点。ほぼ満月 |
トレイルは歩きやすく明瞭 |
2hぐらい歩くと、傾斜がきつくなってきて、岩が大きくなってくるが、トレイル自体は明瞭で道に迷うことはない。土曜日なので、通行人も多い。ここでも14ers.orgのボランティアがトレイルを補修している。
我々は谷底の一般ルートだが、Torreys Peakに向かう岩尾根にバリエーションルートがあり、そちらも人気のようで人影が見える。一般ルートにも、ハイカーだけでなくトレイルランナーも多く、高地のガレ場をスタスタと進んでいく。
岩尾根のバリエーションルート |
たくさんのハイカー |
尾根の向こう側から強い風。山頂付近は晴れたり雲に覆われたり。稜線の手前側にも雲が流れ込んでくる。
風裏の東側斜面をジグザグに上り、Grays Peakの頂上に出たら、強風で非常に寒く感じる。視界はかろうじて下界が見えたり、雲に覆われたり。上からルートを観察して、体調と相談して、行けそうなので、Torreys Peakまで縦走することにする。3日目なので、高度順応も進んでいるようだ。
尾根を下って登り返す。鞍部からTorreys Peakまでは30分弱。登り返しはツラいが頂上が見えているので、耐えて進む。Torreys Peakの方が岩がゴツゴツしているので谷間に雪渓が残っていたり、バリエーションルートから登ってくるひとがいたり、で風景のバラエティが豊か。
ふたたび鞍部まで下りてきて、すこしだけ残っている雪渓をトラバースしてGrays Peakの東斜面を降りる。
もとのルートに合流して、 トレイルヘッドまで。
すこしだけ雪歩き |
雪渓多数 |
振り返る。左がGrays、右がTorreys |
1230ごろ帰着。高度順応が進んだせいか、二日目よりも獲得標高や距離が増えたにも関わらず、ダメージはあまり変わらないぐらい。翌日は登山活動はせずにノンビリ観光の予定なので、昼からビール。Silverthoneにあるブリュワリー。
四日目
ホテルで朝食をとり、0900ごろ出発。
Red Rocks Amphitheatre
Denverの街外れにある、岩に囲まれた劇場。Denverは平地にあるがロッキー山脈は隆起してできた地形。その境界で、堆積した砂岩が隆起に押されて斜めに露出している地形を利用している。岩の具合や色が、アーチーズ国立公園のそれと非常によく似ている。
劇場、ミュージアムを見て、周囲のトレイルを1時間ほど散策。近くにはDinosor Ridgeというのもあり化石も出るようだ。
ヒトの横顔みたい |
Boulder
近くの、陸上選手の高地トレーニングなどでも有名なBoulderに移動。ハイキングと市街観光。
Chautauqua - Flatiron
Boulderの外れにある公園。Flatironと呼ばれる、(洋服にかける)アイロン状の三角形の岩が並んでいる。それらの岩はクライミングの名所でもある。一般人は麓のトレイルを歩くが、岩の上の方まで行けるトレイルもあるようだ。最初、トレイルの名前がFlatirons Loopというので、平坦かと勘違いしていたが、かなり起伏があって運動になる。
Pearl street mall
Boulderの中心街。歩行者天国になっていて、両脇の店と道路の露店で非常ににぎわっている。
街の雰囲気は、アートと多様性を大切にしている、ローカルのビジネスを大切にしている、Boulderという街を誇りに思っている、という感じがとても伝わってくる。全米でも人気がある街らしい。サンフランシスコやポートランドと非常に似た印象を受けるが、より先鋭的な感じでもある。
ハム車を回してかき氷を作る |
横断歩道 |
コーヒーショップと自転車乗り |
レンタカーを返却し、夕方の便でDEN→MSP帰宅。
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