2023年3月24日金曜日

オーロラ大出現

条件さえよければミネソタでもオーロラを見ることができる。

過去にもオーロラに関する記事も書いているし、それ以外にも何度か見に行っているが(そして見れなかったこともあるが)、2023年3月23日夜、稀に見るオーロラの大出現があったので記録しておこう。

 

中央にカシオペア、左はペルセウス

画像はクリックすると拡大される

 

 

月も暗く、良く晴れている。気温もそんなに寒くなく、よいチャンスである。事前情報はこんな感じ。

NOAAの予報。コロナホール由来のオーロラでピーク時G2(Kp6)が予報されている。

雲と出現領域の合成
Kp6ではミネソタは十分圏内。よく晴れている。


木曜日なので、日本との会議を終えたあとに北上。道中、いったん弱まったが、現地到着時刻ぐらいに再度強まり、これまで見た中で最大の出現となった。結果としてKp=8を記録しており、数値上も5年に一度クラスの大出現であった。

いつものEOS-70D+シグマ24/1.4+ソフトンフィルタ。ソフトンフィルタを付けると、明るい星が大きく滲んでわかりやすい、星景写真の定番。


f/1.4 2s ISO2000 ソフトンフィルタ トーンカーブ補正


5sでインターバル撮影してタイムラプス動画を錬成。


 

ffmepgスクリプト

#!/bin/bash

START=6625
OUTPUT=video1.mp4
OUTPUT2=video2.mp4
BGM=furusatonokaze.mp3
# フリー音楽素材 http://amachamusic.chagasi.com/
TIME=17

ffmpeg -r 10 -start_number ${START} -i IMG_%04d.JPG -r 60 -an -b 24000k -vcodec h264_videotoolbox -s 3240x2160 ${OUTPUT}
ffmpeg -i ${BGM} -i ${OUTPUT} -c:v copy -c:a copy -t ${TIME} ${OUTPUT2}


スマホ(iPhone12 Pro)の標準カメラでも、ナイトモードでそれなりに写すことができた。広角カメラを使いたいところだが感度が悪いので標準カメラ(x1)で。


事後にふりかえり。

UTC0300=CDT2200
観望地に向かう途中に値がみるみる下がって行って気を揉んだが、到着時刻CDT2200=UTC0300ごろにはKp8に達するぐらいまで復活して、劇的な出現を見ることができた。



Twin Cities近辺でも見えたそうだ。すごいね



オーロラの見方

オーロラは太陽風(太陽からの荷電粒子の放出)が地球の磁場にとらえられて大気上空で発光する現象。つまり、オーロラが見えるということは次の条件がそろわなければならない。

  • 太陽から荷電粒子が放出され、地球方向に飛来する
  • 磁気的な高緯度地方
  • 夜で曇っておらず、月明かりが暗い
太陽からの荷電粒子の放出はCME(Colona mass emission: コロナ質量放出)と呼ばれる。原因には大きく2つあり、コロナホールによるもの、フレアによるものがある。

太陽表面をコロナが覆っているが、コロナに穴が開く(コロナホール)と、そこから太陽風が放出される。これは太陽活動が低下した時期に多く見られる。コロナホールからはある程度、定常的に太陽風が放出しており、それが地球を向いた時に、太陽風が地球に届く。一度、オーロラが見れた場合、太陽が自転(28日)したら、再度見れる可能性が高い。コロナホールからの太陽風は比較的速度が遅く3日ぐらいで地球に到達する。

太陽表面の活動領域が爆発(フレア)してCMEが放出されることもある。これは太陽活動が活発な、時期・領域で発生する。ただし、フレアは偶発的に起き、活動領域がちょうど地球を向いた時にフレアが発生しないとCMEは地球に届かない。活動領域は太陽の自転とともに回転するがフレアの発生は偶発的だ。フレア由来のCMEは高速で、強いオーロラを引き起こすことが多い。

太陽活動は11年周期で変化することが知られており2023年は谷から登りだしたぐらいの活動状況だ。

2番目の条件。地球は大きな磁石となっているが、回転軸(地軸)と磁極は一致しない。北磁極はカナダ近辺にあり、そのため、北米、ミネソタは比較的低緯度でもオーロラが見やすい地域である。

3番目の条件は自明だろう。北欧の場合、夏は白夜となり空が明るいのでオーロラが発生していたとしても見ることはできないが、ミネソタの場合、夏でも夜は暗いので、オーロラが発生していれば見ることができる。

オーロラを発生させる荷電粒子は太陽から直接磁極に到達するのではなく、いったん、地球の夜側(太陽風の風下側)に蓄えられ、それが一定量を超えると磁気リコネクションが発生し、荷電粒子が磁極に到達する。つまり、その地域で真夜中がオーロラの発生確率が高いということになる。北欧の冬で一日中太陽が昇らなくても、夜にオーロラが発生する確率が高い。



情報源

「これらの予報を巡回し、機会があれば観望に出かける」というのが実際にオーロラを見るための行動。

オーロラに関する時刻情報はすべてUTC(協定世界時)で提供される。航空業界の慣習でUTCはZulu-dayと呼ばれることもある。ミネソタの場合は、CST(中央標準時)またはCDT(中央夏時間)に換算しなければならない。UTCからすると、5時間引いた時刻になる。つまりUTCの0時は、CSTでは前日の18時、CDTでは前日の19時。

オーロラの強さとしてKp値が使われる。経験上、Kp=6だとミネソタでもオーロラが見れることが多い。G1,G2という値も使われ、Kp6 はG2と等しい。

磁気嵐の向き。うまく説明できないが、磁気嵐の向きが南向き(データで符号がマイナス)の時は北半球でオーロラが良く見える。


観望場所

緯度が高く、北側の視界が開けていて、周囲に明かりがなく、車が停められることが望ましい。Twin Citiesから行く場合はI-35に沿って北上することが多い。湖の南側だと湖面に反射して美しい写真が撮れるだろう。

グーグルマップの写真モードで周囲の植生や駐車場、人家などをチェックして、いくつか観望場所をロケハンしておく。

すこし遠いがCook Countyが観望場所の情報を提供している。

0 件のコメント:

コメントを投稿