2020年8月16日日曜日

単位系

アメリカに2年以上居た後に書く記事では無いが、いまだに単位に馴染めない。


アメリカでは「ほとんど全て」の単位が日本とは異なる。一致するものがほとんど無い。
ISOという国際標準をことごとく無視している。 単位ぐらい共通化して欲しいものだ。世界はISO単位系に統一されつつあるが米国だけが独自単位系なのだ。




長さ

インチ、フィート、マイル。
1inch=25.4mm。
1feet〜30cm。
しかも 12インチ=1フィート。10進数ではない。ただし、インチとmmの関係はこの3桁で正確で、これ以上の端数は無い。1760フィート=1マイル(約1.6km)。ヤードはゴルフをしないので生活圏内では出てこない。

さらに、水平方向はフィート→マイルだが、高さ(山とか飛行機)方向はフィートだけでマイルは使わない。

短い方は、フィートとインチのごちゃまぜ(身長など)。

しかも、インチの下は、10進小数ではなく2の累乗の分数が使われる。3/16インチとか。

機械図面の寸法でインチで書かれると、殺意を覚えるレベル。

問: これまで、インチとミリを間違えたために失敗したプロジェクトの数は?

さらに、はめあいや公差などの小さい寸法では mil=thou=1/1000inch=ミリインチが使われる。なぜSI接頭語のミリがインチとくっつくのか謎。電気系ではmil、機械系ではthou。

4thou=0.1mm。

それより下だとgauge=1/100thouが使われる。4gauge=1um。嵌め合いなどでときどき登場する単位。

ただし、gaugeといってもAWGとは全く異なる。電線の太さはなぜかAWGのほうが馴染みが深い。スケ(sq)で言われてもわからないことが多い。

電気設計の世界でも影響がある。ICのピンピッチなどでは歴史的な事情で、mil(mili inch=1/1000インチ)が基準になっていることもある。例えば2.54mm=100mil。しかしチップ部品の寸法は(日本メーカーが頑張ったため)例えば1005などミリ単位系が基準だ。しかしアメリカではそれもインチサイズになっている。1005(1×0.5mm)=0402(40×20mil)というのは、非常にストレスがかかる。

プリント基板で使われる銅箔の厚さは、厚さの単位なのに1平方フィートあたりの重さ(oz)が使われる。これは標準的な厚さである 1oz=38umを覚えておけば良い。一方、絶縁体の厚さは(なぜか)インチまたはミリが使われる。これの倍数または分数しか使われない。

速度


最近はほとんど日本で車を運転していなかたったので、車の速度だけはMPH(Mile per Hour)が直感的に理解できる。Hwyでは、都市部は50mph、郊外は70mph、田舎だと85mph。でも、日本で30km/h制限のような道はアメリカでも30MPH制限な感じ。

しかし、自転車の速度とかは km/h でないと理解できない。ランニングの速度も、分/kmでないとわからない。ジムのトレッドミルが 分/mile だった。が6分/mile が 3.7分/km でだいたいこれが限界だった。

靴のサイズ

日本はcm、ヨーロッパは謎単位。アメリカも別の謎単位。インチでは無く、しかも男女で異なる。どのみち、靴を買う時は現物合わせなので数字はどうでも良いのだが、スキーブーツをレンタルする時に戸惑う。

重さ

重さの基準はポンド(1lb〜450g)。なぜポンドなのに表記がlbなのか、という最初のツッコミがある。アーチェリーをやっていたのでポンドという重さの単位には馴染みがあり、約0.5kgと換算しやすい。比較的、抵抗感が少ない単位だ。


それより小さい重さの単位として、グレインがある。弾頭の重さとかに使われる。1lb=7000grと10進関係にない。たぶん砂金の取引に使われた単位だと思うが、整理して10進ではなくても整数関係に丸めたことは評価したい(閾値をだいぶ下げる)。


(液体の)体積

オンス、ガロンを使う。ビール缶のサイズが、12oz 〜350ml(正確には354ml)、16oz=1pint〜500ml(正確には473ml)というのだけ覚えておけば、不自由しない。ビールとは異なり、牛乳やジュースのサイズはオンスでは無くガロンで測られる。1/4ガロン(〜1L)を覚えておけばよい。日本人は牛乳をガロンで買わないし、スーパーで現物を見ればだいたいわかる。128 fl oz=1gal。

ガソリンはガロンだが、結局、必要だけ入れるので気にしない。トイレの流す水が、一回1ガロン(3.8L)が標準的だ。しかし、ガロンは各国でいろいろ違うらしいので、さらにややこしい。原油のバレルというのもあったような。

温度

日本及び世界では摂氏(℃)、アメリカは華氏(F)が使われる。これは、日本人としては直感的には理解できないが、感覚的には擁護できる。日本人にとっては氷点下=寒い、という感覚的な根拠がある。華氏派にとっては、0F(〜-18℃)が寒い、100F(〜38℃)が暑い、で感覚的。さらに、華氏だとメモリが細かいので小数を使わずとも整数で表現できる、という。寒いことの基準は、日本人とミネソタ人で違うと思う。しかし、0Fまでならなら耐えられる、という感じで100Fはもうダメ、という感覚は理解できる。いまだに華氏は馴染めないが、エアコンの設定で80F(〜27℃)がだいたい快適というのは覚えた。


圧力


自転車乗りには知られているPSI(pound per square inch)というのが使われる。8bar(〜8atm)=110PSIというのだけ覚えておけば、あとは類推でなんとかなるはずだ。

日本では、低気圧や台風などで気圧が話題になるが(気圧依存性のうつ、頭痛なども)、アメリカの天気予報で気圧はほどんど話題にならない。一方、不快指数の代わりに露点が、気温よりも風速を含めた体感温度が指標となっているのは興味深い。体感温度を指標とするのは良いと思う。


流量


釣具屋に行った時に、川の流量が書かれていた。CFS(Cubic Feet per Second)という流量単位らしい。全く理解できない。液体の体積であるオンスとかガロンはどこに行った?

おそらく、SI prefix(kとかmとか)が無いので、数字が大きくなると新しい単位を創出しなければならない(しかも倍数関係がなくなってしまう)のだろう。


日付

5/4/20という表記を見た時に、アメリカ式だと2020年5月4日だが、インド式だと2020年4月5日になる。そういうのを避けるため May/4/2020と書くこともあるらしいが、米国ではほとんど見かけない。他国の文化に配慮しないのが米国流なのだ。

ちなみにISOでは2020年5月4日は 2020-05-04と書く。スラッシュではなくハイフンを使えばISO式だと明らかなので、この記法が普及してほしいと思うのだが、日本人でも知る人が少なく 20/5/4というように書く人が多いのが残念だ。

しかし、5/4/20という表記を見て、May Fourth twenty-twenty と読むのは全く合理的ではない。

コンピュータでは日付を表す整数をカレンダー日に換算する timelocal というルーチンがある。
2020年5月4日を表す整数を、このルーチンに入力すると、2020, 4, 4 が帰ってくる。Mayは月テーブル(0から数える)の5つ目の要素なので4なのだ。

時間


時間ぐらい共通だろう、と思うが、実際は違う。
日本人は時間にうるさいのか、9:00などと分まで言う(すくなくともメールなどに書く時は)が多い。しかし、アメリカ人の単位に分は無く時間だ。打ち合わせ=10AM、という感じ。必要がなければ分は省略される。日本では24時間制が普及している(電車の時刻表などの影響もあると思うが)が、アメリカでは95%が12時間制。アメリカ人で24時間制を使うヒトはほとんどいない。24時間制はmilitary hoursとも呼ばれ、軍隊や病院などで使われるのみである。

しかも、アメリカ内で時差(本土だけでも4つ)、しかも、DSTもあるし、地域によってDSTが無い地域もある。つまり、PST(太平洋標準時)、MST(山岳標準時)、CST(中部標準時 ミネソタなど)、EST(東部標準時)に、それぞれPDT、MDT、CDT、EDTがある。さらに、アラスカとハワイ。DSTとはDaylight Saving Timeのことで、いわゆる夏時間。ミネソタでは3月(まだ雪が積もっている)から10月(もう上着が必須)がDSTなので Summer Timeとはあまり呼ばれない。ミネソタでは、夏=Memoial Day(5月最終月曜)〜Labor Day(9月第一月曜)という感覚。

このへんは、南中(日の出と日の入りの中間)を軸とする日本の文化と、日の出を基準とするキリスト教的文化の違いを感じる。キリスト教的には、日が昇ると新しい日が始まるらしい。つまり、日が沈んで(イブニング)から日が昇るまでがイブ(前夜)。クリスマスイブは12/24 23:59で終わらない。日が昇るのが早くなれば、一日の始まりも早くなるらしい。

日本とも時差があるので、同じ時間を過ごしているヒトは、ほとんどいない、という感覚になる。


お金


1USD〜100JPYで換算しやすい、と思っていたら、コロナの影響で相場が非常に不安定。日本もダメだがアメリカもダメ。どっちが、よりダメかで相場が動く。


電気


唯一、電気の世界だけは、ボルト、アンペア、オームが通じるので幸せだ。西洋人がアメリカ大陸に入植したあとに電気が広まったお陰だろう。



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