サブタイトルは「この国は、なぜ人を粗末に扱うのか?」。本書の主張は「大日本帝国」的な、国・会社・集団の都合を第一に考えて、個人を尊重しない考え方が、長時間・低賃金労働などの現代の日本の悪状況を作り出している、ということ。会社のために低賃金・長時間で働く過労死は「特攻」となんら変わらない。
その根本原因は今でも残る「大日本帝国」的な精神。ドイツがナチスを完全悪として消し去ろうとしていることと対象的に、現代でも「特攻」を軍指導部の狂った作戦と同調圧力による犠牲ではなく、国を守る英雄的な行為と考える人が一定数いる。大日本帝国の信奉者だ。まさしく敗戦が完結していない、ということだろう。次は本書からの引用だが、現代でもよく見られる。
目的を達成できるか否かという「可能性」が、その目的を達成するための「努力」にすり替わり、目的を達成する「努力の尊さ」が「その努力において自分を犠牲にすることの尊さ」にすり替わる。
それらの大日本帝国的な精神論・考え方は単なるイデオロギーにとどまらず、批判的な考え方の欠如・権威への盲目的追従となり、現実的に、日本の発展の妨げとなり競争力・国力を削ぎ続け、失われた30年(もっと続く?)となっている。 大日本帝国時代(1889-1945)の57年よりも日本国時代(1947-2022)の76年ほうが、はるかに長い。いいかげんに現代に適応しないといけない。
憲法が「日本国憲法」から「大日本帝国憲法」に変わろうとしている、今こそ読んでおくべきかもしれない。
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