2019年8月13日火曜日

『マツダ 心を燃やす逆転の経営』

友人が推薦していた本。積んであったのだが、飛行機が遅延した待ち時間で一気に読んでしまった。



中堅自動車メーカーであるマツダの業績を回復させた開発手法に関するビジネス書。
その開発手法は「一括企画」「コモンアーキテクチャ」「フレキシブル生産」。

マツダの場合は中堅自動車メーカーであるので、商品は車。車の市場はこなれているので、十分に将来を予測することができる。また、車種は複数あれど車なので、大きくはみ出すものではない。一方で、トヨタなどに比べると開発リソースには限りがある。そこで生み出されたのが「一括企画」「コモンアーキテクチャ」という方法。

しっかり市場予測をして5~10年先の市場で求められる車(車種を含めて数種類)を一括で企画して、そこで求められる技術要素を先行開発する。開発された技術要素やデザインコンセプトは、その数種類の車種すべてで用いられる(コモンアーキテクチャ)。だから少ないリソースで、複数の車種を効率的に開発できる、ということ。また複数の車種を同時に開発し同時に生産することが前提となっているので、製造ジグの位置決めピン、掴み代、加工方法なども共通化して派生品を生み出しやすい設計にしておくことによってフレキシブル生産が可能となる。

実際にマツダの業績は回復しているし、目指すブランドイメージ(運転の楽しさ)を実現している製品群が出てきている。ただし、前提条件は、マツダに特化している。つまり、車業界であり技術がこなれており予測が立てやすい。企業規模とブランド絞り込みにより、車種も限られている。エンジン駆動で運転の楽しさがある乗用車。つまりEV、コスパ勝負、商業車などは対象外。こういった前提条件があるから、同じ技術で車種を作り分けることができるのだろう。コンサル的な手法によらずに、自らで考え出した開発手法で、業績とブランドを向上させている企業は尊敬に値する。

過去の読書記録はこちらhttps://cold-darkstar.blogspot.com/search/label/%E6%9C%AC
https://booklog.jp/users/nkon
http://park11.wakwak.com/~nkon/misc/book/

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