2019年9月22日日曜日

Yellowstone National Park

9月中旬に、長年のあこがれである Yellowstone National Park と、その南にある Grand Teton National Park に旅行に行ってきた。

間欠泉や温泉地形で有名な Yellowstoneだが、その名前の由来は Yellowstone Riverが削りとった大渓谷で、そこに落ちる Upper Fall、Lower Fallの滝も、公園を代表する景観。それら地形だけでなく野生動物も豊富。Bison、Elkはそこらじゅうにいるし(車道を横断していたりさえする)、狐、熊、オオカミ、鴨や鷹などの鳥も多く見ることができる。これらは観光バスやドライブで楽しむことができるが、さらに自然に分け入って歩いくトレールも多く、その先でしか見えない景観も存在する。




写真はクリックすると拡大される。
長くなるので、Grand Teton の分は記事を分ける。
https://cold-darkstar.blogspot.com/2019/09/grand-teton-national-park.html




計画編


計画を開始したのが5月ごろ。公園内の宿に泊まって自然を背景とした星空や朝夕の景色を楽しめたらいいな、と思って宿を検索したが、シーズン中はほぼ満室。9/Eまでをシーズンと考えると、かろうじて9月中旬に宿を見つけることが出来た。

ミネソタからの旅程としては、MSP-BZN(ボーズマン)をデルタの直行便が飛んでいる。それを利用するのが一番便利。ボーズマンはYellowstone の北側にある街で、公園の北ゲートまで1.5hぐらい。空港でレンタカーを借りて行動することにする。

公園内には街と言うか拠点が6箇所ある。北ゲートの近くのMammoth Hot Spring、その東側の Tower Roosevelt、中程のCanyon、間欠泉がある Old Faithful、南東部の湖の湖畔に Lake Village と Grant Village。今回泊まったのは Grant Village。周囲に観光資源は少ないが空いていて、園内の行動には便利な場所にある。

ホテルは、複数の建物が林の中に散在して景観を乱さないようになっている。しかし、国立公園内、1泊約$300と高いが不便。レストランも高くて美味しくない。部屋にはWiFiが来ているが、非常に遅く非実用的なレベル。テレビは無い。携帯電話は、一部3Gが入る時もあるが、ほぼ圏外(Mammothは携帯が入る)。自然に囲まれて不便を楽しむ、ぐらいの勢いが必要。朝晩は晴れていれば湖面に映る雲や太陽が綺麗だし、駐車場の周りを普通に Elk がウロウロしているし、自然の中に埋もれている感を楽しむことができる。

西側のゲートシティであるWest Yellowstoneに宿を取った方が便利さでいえば上回ったかもしれない(一度、入場料 $35払うとレシートを見せることで1週間入れる)。

園内は8の字状の道路があり、ノースループ・サウスループと呼ばれていて、各所に観光地が点在している。それをレンタカーで回るスタイル。ざっと次の感じで日程を立てた。

初日: 移動
二日目: ノースループ
三日目: サウスループ
四日目: 予備日
五日目: グランドティトン
六日目: 帰路。

結果から言うと、この予備日を設けた日程がぴったりハマって、ちょうどいい感じで楽しめた。

準備

デルタの国内線は預け荷物が別料金なので、リュック一つに詰め込む。9月中頃だからフリースがあればいいか、と思って油断していたら、イエローストーンは雪予報。2000m超えの高地だからミネソタより12℃は低い。まさかミネソタよりも寒いところがあるとは、油断していた。

山リュック(36L)
カメラ+15-85ズーム(偏光フィルタ)+24mm/F1.4(ソフトンフィルタ)+70-300ズーム
三脚
会社のノートパソコン
着替え、0℃対応ダウン、レインウエア
電子機器類(車用のスマホホルダ、シラープラグUSBも含む)

これで満杯。残りは身につけて運ぶ。

冬用ズボン、アンダー、フリース。靴はずーっとトレッキング靴で過ごすことにして替えを持たない。

カメラには Peak Design のホルダー、ストラップ、15-85ズームには偏光フィルタを付けている。色々試してみて、ハイキング向けの現時点での最適解。 Peak Designのホルダーは、カメラ側にプレートを付け、それがリュックの肩紐に付けたホルスターに嵌まるようになっている。それぞれのデザインが薄型で行動の邪魔にならず、かつ、カメラ側のプレートがそのまま三脚に嵌まるのが味噌。カメラをすぐに使える状態で携帯できるので、非常に快適に歩行と撮影を切り替えることができる。

https://www.peakdesign.com/products/capture

ミネソタ生まれ、Kick-starter 育ち。アウトドアとビールは大体友達♪なカメラ周辺機器メーカー

イエローストーンは川や池、温泉が多く、また空も綺麗。こういった屋外環境では、偏光フィルターが力を発揮する。最近のカメラは感度がいいので、つけっぱなしでも暗さのデメリットを感じることは少ない。

24mmは星用としてソフトンフィルタを付けて、三脚とともに持って行ったのだが、今回は天候がわるく、ほとんど天体撮影をしなかったので出番が無かった。

イエローストーンは温泉の景観だけでなく野生動物も非常に豊富なので、望遠レンズ、または双眼鏡は必須だ。

初日

飛行機が遅れ、レンタカーの列も長く、予定より約2h遅れ。1400ぐらいに、北側の Mammoth Hot Spring に到着。ここは石灰岩の棚田がたくさんある場所。ビジターセンターの近くに車を停めて、板葺きのトレールを歩いて見て回る。基本的に地面が熱いので板葺きのトレールからはみ出すことは禁止だ。温泉地帯に行く前に、いきなり、路上を Elk の群れが歩いている。

Mammoth Hot Spring


温泉地帯は、Lower Terraces と Upper Terraces に分かれている。Lower Terraces自体も高低差があって、じっくり見て回ると1.5hぐらいかかってしまった。Upper Terraces はドライブウエイになっていて車で行くのだが、Lowerだけ見ておけば十分だったかな。

すぐそこに鹿が
エリアマップ。クリックすると拡大。



気がついたら1600ぐらい。Yellowstone Lake沿いのホテルまでさらに1.5hぐらいかかるので、残りの行程を急ぐ。Tower-Roosevelt 地域はドライブしながら通過しただけだが、Tower 滝は止まって写真を撮る。尖塔の間から流れ落ちている滝で、この地域一番の観光名所のはずだが、あんまりすごくない。

そこから南下すると、Mt. Washburn の側の Duraven Pass を超える。たぶん園内道路の最高地点。この峠の近くで、狐が出没していた。


Hayden Valley


その南の Canyon は、今日はパス。しかし、その南の Hayden Valley を通っていると、たくさんの車が道端に止まっていて、丘の上に大砲(望遠レンズやスコープ)が並んでいる。駐車スペースに車を停め、野次馬に行ってみると、Wolfが見れるらしい。かなり遠い場所で、300mmでは力不足だが、カラスを追いかけている姿を見ることが出来た。Yellowstoneでは、一度 Wolfは絶滅したけど、移植して定着しだしており、一番レア度が高い動物らしい。


また、この丘の上からは遠く Grand Teton の山を見ることができたり、谷に広がる草原を眺めることができたり、生物観察するのに Hayden Valley は最適だ。


Hyden Valley上のオオカミ狙いの人々

園内はこのように、路肩に停めれる箇所がいくつもあるので、そこに車を停めて周りの景色や動物を楽しむことができる。動物が出没しているときは、他の人が車を停めて、人が集まって眺めていたり、カメラを構えているので、安全な場所に車を停めて、野次馬してみるのもいいだろう。

釣りも許可されていて、フライフィッシングをしている人も多い。


Grant Village

そんなこんなで1600日没。日が落ちると球に寒くなる。車の暖房を付けて街灯が全く無い道をホテルまで急ぐ。
ホテルに着くと 2000ぐらい。売店(General Store)は締まっていて食堂(Lake House)も閉まる直前。これが閉まってしまうと高級な方のレストランしか晩飯が食べられない。急いでLake House で夕食。高いくせに、ファーストフードかファミレスみたいな感じ。レンジで温めたレトルトみたいな食品で、味付けが非常に濃い。部屋に戻って、買ってきてあったビールを飲む。上記のとおり、携帯は繋がらないし、WiFiも激遅。Twitter も見ず、仕事PCも開けず、地図を見て翌日の作戦を考えながらビールを飲み、早めに寝る。

二日目

この日も晴れ予報だが、三日目、四日目は雨予報。朝一でCanyonに行くか、Olf Faithful に行くか迷ったけど、有名度をとり、Old Faithfulに行くことにした。朝一は空いていて、斜めの光の池への入り具合や、間欠泉の飛沫が作る虹などが期待できる。

Old Faithful


まず、Old Faithful。朝は駐車場も間欠泉の周りも空いている。アプリで噴出予定時刻が確認できるので、時間前に近くに行って待っておく。無事、予定通りの Old Faithfulの噴出を見てから、周辺トレイルの散策に向かう。ガイドブックには1〜2時間と書いてあったが、いろいろ噴出待ちをしていたり、うろうろとじっくりみていたら、たっぷり4時間かかってしまった。

まずはGeyser Hill周辺。そこから北に向かって、Morning Glory Poolまで。途中、様々なタイプの、GeyserやPoolがある。なかでも、Old Faithful、Castle Geyser、Grand Geyser、Daisy Geyser、Riverside Geyser、それとLower Geyser BasinにあるGreat Fountain Geyser は、NPS(National Park Service)の公式アプリで次回の噴出予想時刻が出ている。ビジターセンター周辺の携帯の電波が入る環境でデータを更新しておこう。
今回は、Old Faithful だけでなく、Daisy Geyserの噴出もタイミング良くみることが出来た。Castle Geyserも時間を合わせて行ったのだが不発だった。

Morning Glory Pool
Daisy Gayser
噴出した湯気の中に虹
Castle Gayser。噴出を待っていたけど不発だった。


Poolも、水の深さや温度によって種類が異なるバクテリアが繁殖していてカラフルである。この近傍トレールでは、やはり Morning Glory Poolが一番美しいと思う。トレール終点だが行く価値はあるだろう。

トレール周辺であっても、ふつうに Bisonが歩いている。たまに至近距離を走っていてすこし恐怖を感じることもあるぐらい。





結局、1345の Old Faithfulの噴出を見届けてからこの地域を出発。Canyon Village地域に向かう。


Grand Prismatic Spring(Midway Geyser Basin)

途中、これも有名な Grand Prismatic Spring という虹色の池を見に、Midway Geyser Basinに寄ったのだが、昼過ぎの時間ということもあり駐車場は満車。しかも、池が大きすぎて、トレールから見たら湯気に隠れてよくわからない。Grand Prismatic Springは、後日のように展望トレールから見る方が絶対に良い。

Opal Poool
Grand Prismatic Spring。近くからだと全くわからない

Excelsior Gayser

Canyon

Canyon Village 地域は Yellowstone 大渓谷に向かって落ちる、Upper Falls、Lower Falls の2つの滝が見もの(Falls は一つでも複数形)。Yellowstone River が削った大渓谷の黄色い岩(火山灰性)がYellowstone の名前の由来だ。川は北東に向かって流れているので、できれば朝に行くと光がいい感じに当たっているだろう。

Yellowstone Lakeから流れだし、Canyonを削っているYellowstone Riverは、その後合流、その後ミズーリ川と合流し、最終的にはミシシッピ川となってメキシコ湾に流れ込む。公園内をロッキー山脈と大陸分水嶺が通っており、その反対側に降った雨はスネーク川、コロンビア川となりポートランドの側を通って太平洋に流れ込む。

行った時は、部分的に工事中で全部は見れなかった。

South Rim側
  • Uncle Tom's trailは工事中で、Lower Fallsの滝壺近傍には行けない。
  • Uncle Tom's Point駐車場からUpper Falls。
  • その先のArtist PointからLower FallとCanyon 全景。 Old Faithfulと同様、滝と渓谷のYellowstoneを代表する景観。観光バスなども多数来ている。
North Rim側
  • Brink of Upper Fallsという Upper Falls滝壺コースも工事中。
North Rim Drive沿い
  • Brink of Lower Fall という滝の真上。けっこう階段がしんどいけど、大迫力。
  • Lookout PointからのLower Falls全景。そこから坂道を下った Red Block Point。
  • さらに渓谷下流の Inspiration Point(今回は行っていない)。

Uncle Tom's上の駐車場から Upper Falls

Artist PointからLower Falls。公園を代表する景観
Brink of Lower Falls
Red Rock Pointから Lower Falls



West Thumb

Yellowstone Lake近くの温泉地帯。夕方、曇っている時に行ったので、Poolへの光の入り具合はイマイチだった。

力場に阻まれてよく見えない。


なんだかんだで、この日で3万歩超え。板葺きで駐車場近傍の標準観光トレールを歩いただけなのだが、そこそこ歩いている。


三日目

この日は朝から雨。園内ドライブ、展示品めぐり、動物ウォッチをメインテーマにする。

Fishing Bridge

Fishing BridgeにMuseum & Visitor Center があるので寄ってみる。鳥の剥製を中心としたこじんまりとした展示。イマイチ。

Mud Volcano

そこから北上し、道中のMud Volcanoを見る。小一時間のトレールが設定されており、雨の中レインウエアを着て歩く。トレール近傍にBisonが出没し、パークレンジャーの指示に従って逆周りでトレールを回る。
尾根にBison

Dragonの吐息。ゴーと音がするし、臭い。

Mount Washburn

Canyonを超えて北上し、Mount Washburn および Dunraven Pass。ここは園内最高地点の峠で初日には狐を見たところ。しかし秋は熊が出没するためにハイキングは非推奨となっている。雪が舞う中、周囲をを歩いてみたりした。峠の北側からChittenden Roadという非舗装道路があり、Mt Washburnを尾根伝いに途中まで上がれる。晴れていれば相当な見晴らしになっただろう。雪で見えない。
Bison渋滞


Lamar Valley

Tower Rooseveltから東に行って Lamar Valleyに向かう。観光バスはほとんど通らない地域だが、Hayden Valleyと同じく野生動物を多数観察出来る場所だ。ドライブしながら人だかりを見つけて野次馬するスタイルでいろいろと見て回る。1400ぐらいになった時点で引き返す。



Petrified Tree

Tower-Rooseveltの近くの珪化木も見に行ってきた。一本立っているだけでヘボい。

帰りも Dunraven Pass を通って帰るのだが、峠は雪。路面にも積もっているので、安全運転で通過。

早めにホテルに帰って、General store(1800まで)で食料を買って部屋で食べる。
今回のレンタカーはHyndai。オートクルーズは付いているが車間距離制御は付いていないのでとても使いにくい。

四日目

出発時点では雨。この日は、見逃したところを見て回ることと、トレールを歩くことがテーマ。

Black Sand Basin

だいぶ、温泉も見慣れてきた。ここは小規模だが頻繁な噴出がある温泉が多い印象。

カラス
よく見かけた青い鳥。すこし大きいスズメぐらい。

Bisket Basin

ここも温泉地帯なのだが、奥に繋がるトレールがある。ループ状になっていて、Mystic Fall と Lookout を見て回れるようになっている。観光道路以外のハイキングである。今回は時間の関係で Mystic Fall は行かなかった。Lookout へは、けっこうきついつづら折りの上り。だけど、その甲斐あって、谷全体を見渡すことが出来る。





Overlook からの谷の全景


Firefole Drive(Lower Geyser Basin)

再び雨が降りだしたので、車から見れるところに行く。Lower Gayser Basin は最も温泉活動が活発な地域で、新しい温泉がいっぱい生まれているそうだ。雨で湿っていて湯気もすごい。


Firehole Canyon Drive

まだ雨なので別のドライブウェイも行ってみる。Firehole Canyon Driveは谷沿いの一方通行のドライブウェイで、途中に Firehole Fall を見ることが出来る。この谷は2つの火山活動の溶岩の谷間で、滝の両側には性質と時代の違う2つよ溶岩が固まった岩を見ることが出来る。



Norris

活発な噴出のため樹木が育たない、白い岩の谷に、モウモウと煙が上がる風景。
ここにある、Steamboat Geyser は大噴出すると90mも噴き上げるが、大噴出の間隔は予測できないらしい、しかし、訪問直前に大噴出したらしく、駐車場にはこのような掲示が。



Fairy Falls Trail

だいぶ雨も上がってきたので、本格的なトレイルハイキング。Yellowstone内のハイキングコースでは、たぶん一番有名なコースだと思うが、それでも観光客で溢れる地域からは随分と人が減る。

Midway Geyser Basin のすこし南の駐車場からスタート。ここからダブルトラックの平坦なトレイルが始まる。この途中で、丘に登って Grand Prismatic Spring を見下ろすことが出来る。この展望台は新しく出来たもので、ガイドブックなどには書かれていないかもしれないが、とてもおすすめ出来る。正面の駐車場からのコースでは上述のとおり、湯気にかくれて、Grand Prismatic Spring の全貌を見ることができないが、この展望台からでは、とても良く見える。光が順光となる午後に訪れるのがいいだろう。道中、湯気が Spring の色を反射して虹色に色づいているのも幻想的で良い。

ここから先は人通りが減る。左折して、林間コースを20分ほど進むと、Fairy Fallだ。ちょうど、滝の目の前に黄色く紅葉した樹があってアイキャッチとなっている。ここから Goose LakeやFountain Flat Drive の方にも抜けられるが、片道トレールとなってしまうので、元の駐車場に戻る。他にも、トレールの情報は公式サイトにいろいろと掲載されている。


湯気の色づきが幻想的




五日目&帰路

→ Grand Teton National Parkへ。
https://cold-darkstar.blogspot.com/2019/09/grand-teton-national-park.html




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