イギリスの教師が、世界の高教育5カ国(フィンランド、日本、シンガポール、中国、カナダ)を訪問して現場インタビューをもとに考察をまとめている。筆者の教育者としての現場感覚が非常に生かされている。日本については、とくに集団生活が重視されていること、中学卒業まではどこでも同じレベルの教育が受けられるように制度上もとくに注意が払われれいること、が特徴として挙げられている。
他の国についても、教育のやり方の特徴だけでなく、制度についても精密な分析がなされていて、それが教育風土と強い関連があることが興味深い。
本書で繰り返し述べられている考え方として、西洋では個人には生得的な能力差があると考えられているが、東洋では努力により能力は獲得できると考えられている、という考察だ。遺伝解析では半分ぐらいの能力は遺伝的らしいし、東洋人もそれを認識している。しかし、能力で劣っていても努力で克服できるというのが東洋式(儒教的)な考え方、と指摘している。逆に西洋人は、努力=能力が劣っているという認識らしい。逆に生得的なものを変えられないという考え方が個性を尊重するということにもなっているのだろう。
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