2020年12月13日日曜日

『一般気象学』

大学教養レベルの気象入門テキストとして書かれている。教科書にしては語り口がわかりやすく、この分野では広く読まれている名著。高校レベルの物理法則から丁寧に論理と計算を展開し、飛躍なしに気象に関する結論を導いている。結果だけを示されたときに「なぜ?」と感じる疑問が解決するのは心地よい。例えば、なぜ地球にだけ水があるのか?という疑問を理解したいと思うだろうか。

このような論理展開が好きな方は『光の鉛筆』シリーズも気に入ると思う。


 

 

前半では、気象の源となる大気の取り扱い方法を丁寧に解説している。例えば、湿潤断熱減率などだ。大気は膨張する気体で水蒸気を含むので、温度・圧力・湿度などは高度によって様々に変わる。そこで温位や混合比(絶対湿度)などの概念が導入される。それらのパラメータをとおして大気の状態はより見通しよく理解される。ここまでの知識で下層に湿潤大気が流れこむと対流不安定が生じ豪雨となることが理解できる。

後半ではメソスケールの実際の気象現象(集中豪雨や台風)や成層圏での大気の動き、地球温暖化などの気候変動についても解説されている。

 

 

 

 

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