2022年5月21日土曜日

Yosemite National Park

2022年5月下旬、メモリアルデーの前の週の土~月曜にヨセミテ国立公園に訪問。抽選に当たったので念願のハーフドームケーブルにも登頂。ハイキングの活動記録や現地の様子などを書き残す。

 


(めちゃくちゃ)長いです。

写真をクリックすると拡大されます。

 

 

 

 

ハイキングについては次の4つ。宿泊は園内のYosemite Valley Lodge。


 

地理

ビジターセンターの展示がわかりやすくて、すばらしい。

ヨセミテ国立公園はカリフォルニアのシエラネバダ山脈の西側にある国立公園。一帯が花崗岩(Granite)の岩盤からできている。これは、恐竜時代にプレートの沈み込みによって発生したマグマが地下深くに溜まりゆっくり冷えてできたもの。時間の経過とともに隆起し地表に現れて浸食を受けたものがヨセミテ国立公園。

中央部に氷河が削ったU字谷がありヨセミテバレー、単にバレー、Valleyと言われている。そこに、周囲から滝が何本も注ぎ込む。滝の落ち口である崖の上は、水源となる森林地帯が広がっている。ヨセミテのシンボルであるハーフドームは、その森林地帯のさらに上にある花崗岩のコブだ。El Capitanの岩壁は花崗岩を氷河が削ったU字谷のもの。しかし、ハーフドームの消え去った半分は、氷河が削ったものではない。氷河が削る前からその半分は無かったのだ。氷河の削り後の有無がその証拠。

氷河が削ったU字谷の底は平坦でValley Loopというトレイルがめぐっている。そこから先は滝が落ちてくる崖でどこに行くにも急登トレイル。ハーフドームは滝上の樹林帯のさらに上、という3階建て(Valley、滝上樹林、ドーム)の構造になっている。

2022年のヨセミテの状況

多くの人出が予想され、夏季は入場許可を事前に取得していなければならない。ただし、園内での宿泊やハーフドームケーブルの許可などを持っていれば追加の入場許可は不要。またチェック時間は0600-1600なので、それより早く入れば実質チェックなし。

5月下旬はTioga Passは未開通。2022年度はGlacier Pointへ向かう車道が工事で閉鎖。Mariposa Groveのトレイルヘッドへの車道は閉鎖。トレイル自体も風で樹が倒れて半分ほど閉鎖。

ちょうど行った時期は、Glacire Pointへ向かう4mile trailが落石のため閉鎖。これで、Glacire Pointへ行く手段が、Panorama Trailしか無くなってしまった。

一般人がハーフドームに登るにはハーフドームに張られるケーブルを利用する必要がある。ハーフドームケーブルのルートを利用するには許可証が必要で抽選制。当たっても外れても申し込みに$10必要。3月に年度内の全日程の抽選を行う。割り当ては一日あたり225人。例年メモリアル・デーの前の金曜日からケーブルオープン。今回の日程はそれよりも前なので、当初はあきらめていた。再確認したところ、今年は5/19にケーブルオープン。今回のヨセミテ日程は5/21~23なので、行けるかも!と2日前枠(1日あたり50人)に申し込んだら、5/21に当たった。通常、当選確率は5~10%。オープン日程が例年よりも前倒しになったので、わりと穴場だったのでは?

2日目

マリポサのホテル泊。0400起床、スーパーで買った朝食を食べ0430出発。0545ヨセミテ着。0600から入場規制なのだが、それ以前に入ったのでチェックはない。ただ、マップがもらえない。土曜日だが、Curry Villageの駐車場は余裕あり。奥のトレイルヘッドの駐車場でもよかった。

コアノパンツ+Tシャツ+フリースで、スタート時はちょうど良い感じ。暑くなるとパンツのベンチレションを開けてフリースも羽織るだけ。

日の出は0550ごろ。道中は夜中の山道ドライブ。車のエアコンは暖房モード。歩行開始時の空は明るいが谷底には陽が射していない。





Half Dome Cable

この日の目的はHalf Dome Cable。実質初日にして最大の目標。計画では往復12時間のハイキング。アメリカの国立公園の一般ルートでは最難関。『地球の歩き方・アメリカの国立公園』には「本書で紹介するトレイル中、最も厳しいコース」と書かれている。グランドキャニオン(プラトー・ポイント)よりも1.5倍以上しんどかった。


 

ルートは、バレー(Valley)のトレイルヘッドから、バーナル滝(Vernal Falls)~ネバダ滝(Nevada Falls)。ここまで一般ルート、それでも、登りばっかり、2hぐらい。

Vernal FallsまでのトレイルはMist Trailと呼ばれていて、滝壺のしぶきがザバザバ。レインコードがあった方がいいレベル。カメラが濡れてしまったが無事だった。Vernal Fallsは落ち口(Brink of the fall)のすぐ近くまで行けて迫力がすごい。

バーナル滝

バーナル滝上部


この時間帯は、Nevada Fallsまでもハーフドームに行く人がほとんどで人通りが少ない。合計275人しか歩いていない。Vernal FallsからNevada Fallsまでのトレイルで脇道に迷い込んで時間ロス。

Nevada Fallsまでは岩の階段。階段を登り切ったところにトイレと休憩場がある。最後のトイレ。すこし歩くとNevada Fallsの落ち口にも行ける。

ネバダ滝

ネバダ滝上部


そこから先はほとんどはハーフドームケーブルを登る人(275人)のみ。マーセド川(Merced River)沿いの平坦を過ぎると樹林帯の上り。滝上の樹林帯が、水源となって滝に水を供給している。休憩込みで1100ぐらいに樹林帯の終わり、林がまばらになったらHalf Domeチェックポイント。バレーエリア全域で弱いながらもLTEが入るが信用できないので、スクショしたPermit(許可証)とIDを提示して、いよいよHalf Domeに。

マーセド川


ハーフドーム、ミニドームを背面から


チェックポイントを過ぎるとHalf Domeの前にMini Domeがある。Mini Domeの前半は岩の階段の急登。この時点で標高が高く披露も蓄積しているので息切れする。休憩しながら登る。Mini Domeの後半は階段もなく、30°~40°ぐらいの花崗岩のスラブを靴底の摩擦を頼りに登る。ルートが分かりにくく道迷いしやすい。迷ったら、1000m落下。高度感が緊張を強いる。しんどい分だけ高度が上がり、遠くに冠雪しているシエラネバダ山脈の山々が見える。

チェックポイント。ここから先は岩場オンリー

ミニドーム下半分は階段

ミニドーム上半分はスラブ

Mini Domeの頂上に着くと、目の前にHalf Domeとケーブルが見える。



文字通り、ハーフドームにケーブルが張られている。岩に穴をあけて支柱を立て、支柱にワイヤーケーブルが通っている。支柱と支柱の間には、木のステップが渡してある。とくに前半の斜度がきつく、45°以上?。ケーブルにつかまっていなくては立っていららず滑り落ちる。空気が薄く、上っているとすぐに息がきれるので、支柱のところで休憩。皮やゴム引きの摩擦力がしっかりある手袋が必須。すぐに握力が無くなるので、片手づつぶらーんとさせて回復させる。

ハーネス着用の人も10%ぐらい。あったほうが万が一のときに安全だと思う。

普段、垂直の岸壁を登っていそうな人は、ケーブルの外側を、片手掴みでヒョイヒョイあがっていた。理解不能。

1/3ぐらいいったところで脚が攣りまくる。アプローチの長距離ハイキングで疲労がたまっていたことに加え、靴底のフリクションを活用しようと足を斜面上向きに置くと45°の傾斜で脹脛に負担がかかりすぎるのだ。高度感の恐怖で筋肉が収縮しているのも相乗効果。回避策として、攣った脚は足の向きを斜面横向きに(ガニ股)置くと脹脛の痙攣は回避できる。もう片方の脚で登る。そうしているうちに、横向き脚の太ももが攣り、他方の前向き脚の脹脛も攣る。

両脚が攣って動かせず、手にはロープをつかむ力が入らず、油断したら45°の岩盤を1000m落下。高所で空気が薄く、恐怖感で喉がカラカラ。前の人も同様に休憩しながら登っているので、かろうじてそれについていくペースで。途中、何度もギブアップして引き返そうかと思った。

当然ながら、写真など撮っている余裕はないので状況が伝わらないかもしれない。GoProつけておくべきだったか?

2/3ぐらい来たら、斜度が緩んできたのがわかる。気合をいれなおして、前に進む。ようやく登頂。頂上は意外と広々としている。本当の最高点は西側にあるのだが、みんな、それより東側のオーバーハングのところでくつろいでいる。弱いながらもLTEが入るので電話で登頂をアピールすることもできる。

せっかく登頂したけど、両脚が攣っていて、緊張で気分が悪く、くつろいでいる余裕がない。証拠写真を何枚か撮って、座り込んだまま水を飲んで、生きて帰るために下りのための回復を待つ。計画では頂上で写真を撮って昼食、と思ったのだがそんな余裕はなかった。

ドーム頂上のオーバーハングポイント

ヨセミテバレー、ミラーレイクの先方面
花崗岩の山肌が美しい

遠くに見える残雪のハイ・シエラの山々
ここまで全部ヨセミテ国立公園


ケーブルの下りは体力的には楽。手と足で摩擦を制御しながら一段一段降りるだけ。ミニドームのルートを間違えずにおりて樹林帯まで戻ってくると、ホッとする。あとは下りルートを延々と、もくもくと歩くだけ。気温が上がって疲れるし下りは脚に負担がかかる。

Nevada Fallsまで戻ってくると一般客も多い。残り2時間。欲を出して往路とは違う、John Muir Trailで下る。距離は増えるが、岩の階段下りが無く、Nevada Fallsを違う角度から見たかったのだ。

ハーフドーム背面、リバティーキャップ、ネバダ滝

バーナル滝。昼

1715帰着。トレイルヘッドから駐車場まで歩く気力が無く、シャトルバスで駐車場まで。

 

 

Instagramにあった動画。登っている途中はこんな感じ

 

 

Yosemite Valley Lodge

宿泊はYosemite Valley Lodge。ロビーではかろうじてWiFiが入るが居室にはWiFiは来ていない。しかし、バレー全域でアンテナ1~2本ぐらいのLTEが入るのでなんとかネットは可能。ハーフドームの頂上から通話もできる。

ロビーにBase Campという軽食店があるが非常に混んでいたので、Villageのスーパーで夕食と翌日の朝食を買う。バレー北側は一方通行なので、Valley LodgeからVillageに行くのはバレーを一周ぐるっと回ってこなければならないので不便。


3日目

0600起床、前日にスーパーで買っていたサンドイッチを食べ、0630出発


Upper Yosemite Falls Trail

ロッジの裏手がCamp4。そこからUpper Yosemite Falls Trailが始まる。いきなりスイッチバックの急登、Columbia Rockまで。朝日がハーフドームの向こう側から登ってきている。逆光で写真が撮りにくい。



コロンビア・ロックからハーフドーム
朝日が逆光

向かいのセンチネル・ロック


そこから先は下り基調でUpper Yosemite Falls View Pointまで。登りはなんとかなったのだが、下りで、昨日痛めた膝が持たない。Upper Yosemite Fallsの頂上まで行くのをあきらめて、Upper滝が見えたところで引き返す。Upper Yosemite Falls、落差436mもあるので途中で水が霧散している。

滝の写真、スローシャッターで撮るか高速シャッターで撮るか、毎回悩ましい。朝日の加減と滝の白色のため露出補正も難しい。



登りよりも時間をかけて下まで降りる。

平坦なら普通に歩けるので、Lower Yosemite Fallの滝壺まで。途中の観光ルートにUpper+Lowerが一望できる絶景ポイントがある。そのあとはビレッジ(Village)と呼ばれる地区に。ビジターセンター、土産物屋、スーパーなどがある。即乾素材のTシャツでデザインが気に入ったものがあれば、自分への土産として買うことにしている。

上にも書いたが、ビジターセンターの解説がわかりやすい。地質学的な点だけでなく、エルキャピタンを代表とするクライミングについての展示もよい。

Upper+Lower

Lower Yosemite Falls

バレーの3D模型


 

 

Valley Loop Trail(El Capitan, Bridalveil falls)

午後の時間、平坦なら歩けるので、バレーの西側、El Capitan 方面にハイキング。ビレッジからシャトルバスに乗って西側に。

車で行ってもよいが、駐車場が混雑しているのと、ワンウェイルートで歩けるので、シャトルバスを活用したほうがいいだろう。この時期、シャトルバスは「マスク必須」。持っていない人はTシャツを脱いで口に巻いたりしていた。

下から見上げるだけだが、El Capitanには何組か登っている。





その西側の Ribbon Fallは、とても落差がある(491m)のだが水量が少ないので途中で霧散している。また、融雪期限定で夏を過ぎると渇く。


折り返し地点、バレー西端のバレー・ビュー・ポイントからは、左手にエルキャピタン右手にブライダルベール滝が見えて素晴らしい。ここには夜に星景写真を撮りに来る。

折り返して対岸のBridalveil Fall。水しぶきがベールのようになっているのを写真に撮るのが難しい。バレー中央部からは遠いが観光バスなどで多くの人が見に来ている。そこからCathedral Beachのバス停まで歩き、シャトルバスで戻る。

バレー・ビュー・ポイント

ブライダルベール滝

ブライダルベール滝 全景



 

1700ぐらいだと空いているBase Campでハンバーガーを入手。部屋で食べる。

夜は星景写真。下見のとおりバレー・ビュー・ポイントまで。左の明るい星がこと座のベガ。その右はヘラクレス座で明るい星が無いのがさみしい。左側、エルキャピタンの岸壁にはクライマー達のライトが見える。右側はうっすらとブライダルベール滝。

データ:EOS-70D + Sigma 24/1.4 Art, f/1.4, 8s, ISO4000, WB4000K, Gimpでトーンカーブ編集




4日目

0600起床、荷造りをして0700出発

Mirror Lake Trail

メモリアルデーより前の月曜日なだろうか、0700でもトレイルヘッドの駐車場に停められる。

Mirror Lake Trailは、ハーフドームの北側を流れるTenaya CreekとMirror LakeをめぐるValley Loop Trailの一部分。太陽がハーフドームの上に登ると逆光で写真が撮りにくいので朝の早いうちに行くのがおすすめ。朝の涼しい空気と、鳥の鳴き声、少ない人手の静寂も味わえる。虫も多いので虫よけ推奨。

水鏡の写真、PLフィルタ+露出補正、さらにはHDRを組み合わせていろいろ工夫してみるが、iPhoneのAutoHDRとAI補正がバキバキな絵画超の映える絵を出してくる。若干面白くないが、すごい。







往路は川の北岸のトレイルを行く。ミラーレイクの名のとおり湖に映るハーフドームなどを楽しみながら。ミラーレイクを過ぎて1マイルほど行くと橋で対岸に渡り下ってくる。この時間になると観光客も増えてくる。ミラーレイクの湖岸は山々に囲まれて新緑と湖面の素晴らしい景観に鳥の囀りがプラスされる。じっくりと時間を使って、別世界感を味わうのが良い。

この日は持って行った望遠レンズをちゃんと使って、ハーフドームの頂上を。まだ人はいないようだ。







マガモ?のつがい

コガモ?の親子。かわいい

 

ハイキングはこれで終了。短いコースだったが、写真をたくさん撮ったので1200ぐらい。名残惜しいが、バレーを後にする。途中、トンネルビューポイントから谷の写真を撮る。エル・キャピタン、ハーフドーム、ブライダルベール滝とヨセミテを代表する景観が並ぶ。


 

 

園内道路を南のマリポサ・グローブに。

ここでもすこしハイキングをする予定だったが、アクセス道路が車通行止めだったり(片道40分徒歩)樹が大風で倒れていたり、翌日のセコイア国立公園と内容が被るので、ハイキングはせずにフレズノのホテルに。

フレズノは山から完全に降りた乾燥した盆地の、飛行場もある規模の都市。食事、WiFi、LTEと文明を満喫する。




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